部門紹介

専門外来-ヘルニア外来

鼠径ヘルニアとは?

足のつけねに近い左右の下腹部を鼠径(ソケイ)部といいます。ヘルニアとはラテン語で脱出や破裂を意味します。 鼠径部はもともとおなかの壁の中でもほかの部位に比べると生理的に弱いところで、立った時やおなかに力を入れた時に鼠径部がふくらんでくる、違和感や痛みを伴うといった症状は鼠径部ヘルニア(脱腸)のサインです。

鼠径部ヘルニアは大きくなることこそあれ、自然に小さくなったりなくなってしまうことは決してありません。

また、嵌頓(かんとん:鼠径部に腸管がはまり込んでしまって戻らなくなり、強い痛みや嘔吐が出現し危険な状態)や腸閉塞発症の危険があるため、適切な時期に適切な治療を必要とします。
発症原因が物理的生理的であるため飲み薬や塗り薬、貼り薬では治らず、弱くなってあいたおなかの壁の穴をふさぐ手術が必要となります。

鼠径部ヘルニアの種類

1.外鼠径ヘルニア
幼児と成人が発症するほとんどの脱腸が、外鼠径ヘルニア(間接型)です。鼠径部のやや外が膨れてきます。

2.内鼠径ヘルニア
内鼠径輪より内側から腸や内臓脂肪(大網)が押し出される脱調を内鼠径ヘルニア(直接型)と言います。 中年以降、加齢や生活習慣による組織の脆弱化により発症するヘルニアです。

3.大腿ヘルニア
女性に多いヘルニアです。特に多産の高齢の女性に多いのが特徴です。 鼠径部の下のふとももが膨らみます。足への血管の脇へはみ出すヘルニアです。最も嵌頓を起こしやすいヘルニアなので早急に治療が必要です。

鼠径部ヘルニアの症状

  • 軟らかい膨らみが股のつけ根にできます
  • 押したり,寝るともどります(平坦になります)
  • 違和感や,時に痛みをともないます
  • 嵌頓(かんとん:はまりこむ)ことがあります

そけいヘルニアになりやすい人

  • 乳幼児も鼠径部ヘルニアになりますが、約80%は中高年の男性です。
  • 加齢を考慮すると、鼠径部ヘルニアになりやすい人は中高年の男性です。さらに言えば、力仕事や立ち仕事が多く、喫煙し、肥満気味で便秘の人がそけいヘルニアに最もなりやすい人のイメージです。
  • 前立腺手術歴のある方の約20%に鼠径部ヘルニアを認めます。

鼠径部ヘルニアの治療

  • 鼠径部ヘルニアの治療法は手術しかありません。薬やトレーニングで治るものではなく、ヘルニアバンド(脱調帯)も治療ではなく、ただ押さえているだけです。
  • 現在ではおなかの壁の穴をふさぐためにメッシュと言われる人工補強材を使用して(夏の網戸のような網をイメージしてください)弱い筋膜を補強する手術が主流です。
  • 当院ではソケイ部切開法と腹腔鏡下ヘルニア修復術のどちらの手術法も行っています。
  • 当院では安心して治療を受けていただくため、ヘルニア国際ガイドラインに沿った治療法を行っています。腹腔鏡下修復術は傷が小さく、ソケイ部切開法と比較して有意に痛みが少なく、社会復帰も早いとされています。ただし腹腔鏡手術にこだわることなく、リヒテンシュタイン法やダイレクトクーゲル法、従来法であるMarcy法など患者様の既往歴や状態に応じた手術法を適応できるように努めています。

鼠径部切開法

A.従来法

  • 鼠径管の入り口を縫い縮め、腹壁の筋肉や筋膜を縫い合わせて補強します。 Marcy法などがあります。
  • ヘルニア嵌頓手術を行い、腸管切除を同時に行った場合(感染の危険性が危惧されますので、人工のメッシュは使えないことがあります)や若年者、出産予定のある女性

B. Tension-Free法

  • 鼠径部を3~4cm切開してメッシュと言われる人工補強材を使用して弱い筋膜を補強します。当院では病態によって、メッシュ形状、素材等、体に優しい材質を用いたメッシュを数種類使用しています。
  • 手術時間も短く、再発率が大きく減少し、早期の社会復帰が可能な術式です。

腹腔鏡下ヘルニア修復術

  • お腹に3か所の孔(あな)を開けてカメラと鉗子を挿入し、お腹の中の映像をテレビモニターで見ながら手術するのが腹腔鏡下ヘルニア修復術です。
  • 腹腔内到達法Transabdominal preperitoneal approach (TAPP法)は、腹腔鏡(スコープ)を臍または臍に近い位置から挿入し,2本の操作鉗子(かんし)を通常臍の下の左右に横に2カ所入れ内視鏡の画像を映し出したモニターを見ながら行なう手術です。腹腔内でソケイヘルニアを観察し、腹膜を切って空間を作成し、ヘルニアの穴(ヘルニア門)をメッシュでふさぎ、腹膜を縫合して終了とします。

外来受診から手術、退院後までの流れ

外来
  • 診察及び診断。必要に応じてCT検査などを行います。手術が必要となった場合、手術に必要な諸検査を受けていただきます。手術についての内容、手術当日の用意、またその前日までの生活についても指導させて頂きます。
入院・手術
  • 多くの方は手術前日に入院していただき、手術前のチェックを受けていただき、翌日手術となります。
  • 術当日より食事や歩行制限などはありません。翌日以降、ご都合に合わせて退院していただきます。
退院後
  • 退院後は外来で創部の確認などを行います。
  • 多くの方は経過観察となり、定期的な通院は不要となります。

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